1.医学生の皆さんへ
リウマチ膠原病疾患は全身の様々な臓器に影響を及ぼすため、「全身を診る」という観点から非常に学ぶことが多い疾患群です。丁寧な問診、全身の診察、検査計画、治療、合併症管理といった内科医にとって重要な臨床プロセスを一人一人の患者さんを通して学ぶことができます。また、疾患を学ぶことによって、その背景にある免疫システムという基礎分野への興味・探求にも繋がります。さらに、リウマチ膠原病疾患は慢性疾患であるという特徴があり、患者さんの心理面や社会的側面に対する配慮が特に重要であることから、全人的医療を学ぶ重要な機会にもなります。
このように、実際の患者さんを通してリウマチ膠原病疾患を学ぶことは、医師を目指す学生にとって非常に貴重な経験になると考えています。こうした有意義な学びを提供できるよう、当科の臨床実習では患者さんの診療やカンファレンス、クルズスなど様々な角度から学習できるように工夫しております。また、研究室の見学も随時受け付けています。
当科では、他大学からも臨床現場や研究室の見学を積極的に受け入れております。興味を持たれた学生の方はお気軽にご連絡下さい。
文責:柳下瑞希(2012年卒 病院助教)
2.後期研修希望の医師の皆さんへ
私は、2018年に膠原病リウマチアレルギー内科に入局し、臨床研修を行った後、2021年からは大学院で基礎研究を行っています。私が後期研修を開始した2018年は、新専門医制度が開始となり、新内科専門医、その後の各分野の専門医研修が変わった年でしたが、当科での後期研修に関して、私のケースを元に紹介したいと思います。まず、初期研修を修了し、当科へ入局した後は、内科専攻医としての身分ではありますが、基本的には膠原病リウマチアレルギー内科に所属し、当該分野の研修をメインに行います。具体的には、病棟に配属され、関節リウマチや膠原病の入院患者をみるのが基本となります。副主治医または担当医として患者さんを受け持ち、主治医と相談しながら治療を進めていくことになるのですが、当科は上級医に気軽に相談ができる雰囲気があり、とても楽しく仕事ができました。また、3年目から膠原病リウマチ専門外来を担当し、関節超音波検査やコンパクトMRI(手専用のMRI)等の検査も受け持つため、早くから専門の臨床経験を積み、技術・知識を身につけることが可能です。内科の症例経験に関しても、膠原病は全身疾患であるため、内科専門医取得に必要な他分野の疾患を多く受け持つことができ、ジェネラリストとしての経験も同時に蓄積することができます。私の場合、後期研修期間は膠原病リウマチ領域を集中的に学び、他科のローテーションは行いませんでしたが、内科専門医取得にあたり未経験の症例がある場合や深く勉強したい分野がある場合には、3か月など期間を決めてローテーションすることも可能です。実際の勤務スケジュールや専門医取得までのプロセスについては、参考までに私のケースを図1、2に示しました。新専門医制度に移行し、自身の専門領域を学びながら内科全般を学ぶのは大変でしたが、当科ではサポート体制も整っており、内科およびリウマチ専門研修を同時に行いながらも、毎年数回の学会発表や論文の執筆も行うことができ、とても有意義に3年間の後期研修を終えることができました。
膠原病リウマチ疾患は多臓器に障害が起こる自己免疫性疾患であり、自己抗原を含めた病因・病態は未だに不明な点が多く残っています。そのため、基礎および臨床研究、治療薬の進歩も目覚ましく、毎年新たな学びのある魅力的な分野だと思います。私は、臨床医として働く中で、毎年のように新規の分子標的薬が開発され治療法が進歩していくのを体感し、興味をそそられたと同時に、未解決の臨床的課題に関する基礎研究にも取り組みたいと考え大学院への入学を決めました。当科では、臨床を中心に学び活躍することもできる一方で、自己免疫疾患に関する基礎研究も行うことができ、皆様の個々のニーズに合った働き方ができると思います。膠原病リウマチ分野に興味がある方は、ぜひ当科で研修いただければと思います。皆様と一緒に働けるのを楽しみにしています。
文責:西山泰平(2016年卒 大学院博士課程在籍中)
3.大学院希望の医師の皆さんへ(博士課程医学学位プログラム)
当研究室は、関節リウマチ、シェーグレン症候群、IgG4関連疾患、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の病因・病態の解明を目標としており、究極的には自己免疫疾患の治癒を目指した治療法の開発を探索しています。しかし、医学が進歩した現在においても自己免疫疾患は難病の範疇に属する疾患であり、これら解明するためには、多方面からのアプローチやアイディアが必要です。
また、当研究室は臨床医学域に属しているため、患者さんの貴重な血液や病変組織を用いた様々な解析を行うことができ、患者さんの検体で得られた知見をモデルマウスで検証し、新規疾患関連分子や治療標的の同定につなげることができます。さらにモデル動物での知見をヒトの病態にfeed backすることも可能です。
ここが我々の臨床免疫学と基礎免疫学との一番の違いでもあります。ただ、基礎研究も重要であると位置づけておりますので、当研究室内での基礎研究はもちろんですが、他基礎医学系とも提携しながら研究を進めております。また、臨床開発を通して製薬企業とも共同研究を進めており、新たな創薬に向けての民間との連携も大切にしております。
文責:東光裕史(2014年卒 大学院博士課程在籍中)
4.大学院希望の学生の皆さんへ
(修士フロンティア医科学学位プログラム・博士課程医学学位プログラム・5年一貫制大学院ヒューマンバイオロジー学位プログラム)
私は他大学生物資源科学部から筑波大学大学院に進学し、当研究室で修士課程(フロンティア医科学学位プログラム)を修了しました。入学時、医学における基礎知識やヒト検体の解析手法は全く持っていませんでしたが、修士課程の授業や研究室のジャーナルクラブで勉強し、先輩、指導教員にご指導いただきながら研究を進めることが出来ています。私の場合、博士課程に進学後、授業は週1コマ程度なのでそれ以外の時間を研究室で過ごしています。大学院ではアルバイトはしておらず、大学のTeaching AssistantやResearch Assistant制度を活用しています。日本学術振興会特別研究員や筑波大学のフェローシップなどへの応募も可能です。
私は自己免疫疾患に興味があり、基礎-臨床両軸の研究をできる点でこの研究室を選びました。当研究室は臨床業務に従事する医師が多く在籍しており、疾患の理解が深まると共に医療に携わる国家資格保有者でなくても患者さんの貴重な臨床検体を用いた解析を実施できる点はとても魅力的だと感じています。また、当科は病態の発症機序の解明にも力を入れているため、疾患モデルマウスを用いた解析も可能です。
卒業生の主な進路は、培った知識や技術を生かして、研究機関の研究職としてだけでなく、医学・薬学・化学・食品業界の企業へ就職など様々です。
最後になりますが、医学部以外の方も大歓迎です。皆様と一緒に研究できることを楽しみにしています。
文責:谷村玲央菜(2020年卒 大学院博士課程在籍中)
5.卒後臨床教育センター、大学院へのリンク
筑波大学附属病院における後期研修、および筑波大学における大学教育の詳細は、以下のリンクよりご確認ください。
TEL: 029-853-3186
MAIL: